恋の歌と乙女心

  よく「本名ですか?」と聞かれる私の名前。物心ついた時からとても気に入っている「万葉」は、私の本名。日本最古の歌集「万葉集」。自然の偉大な姿を幽玄に語り、人間の生きる喜び、悲しみ、苦しみを高らかに歌った万葉集は、古代より日本人の心に深く染み込んでいる。その万葉集の中には、恋の歌が数多く詠まれている。そのひとつに信濃路にまつわるこんな歌がある。

信濃なる 千曲の川の さざれ石も 君し踏みてば 玉と拾はむ』(14-3400番)

  あなたの踏んだ石さえも、玉(宝石)のように愛しい、そんな切なく健気な乙女心。乙女にとって拾った小石は恋人そのものだったのだろう。このせわしい時代とは少し違った、いにしえの日本人が教えてくれた凛とした恋心から、穏やかな時の流れを感じる。恋をするとは誰かを想い、思いやりを持つこと。いつの世も、女性は恋をし、成長すると私は思う。「いつも綺麗でいよう。そしてあの人に見ていてほしい」そう考えるはず。もちろん美しくあるためには、内面から健康であることもひとつ。恋をすること、それがあなたの「美」に、より一層磨きをかける。