春の自然に想いをよせて

  春の訪れは雪どけの頃。青い空と白い雲、花開く時を待っている。春遅いふるさと黒姫の自然は美しい。春が訪れると、自然豊かな黒姫には多くの草木が芽生える。黄色い可愛らしい花を咲かせ、貴重な民間薬草の「たんぽぽ」。蕾が愛らしく、春の七草にも数えられる「はこべ」。さまざまな効能を持ち、笹団子、笹飴、ちまきなどに使われる「熊笹」は、冬眠した熊が食べて体力回復を図るともされている。これらの草木は野草茶にも使用され、女性の美と健康を支えている。春の自然は、女性を高め、そして育む季節とも言えるだろう。そんな自然を万葉人は「清の美」、つまり清き川の音、清き月夜、清き空を愛している心を詠っている。

  『春の野にすみれ摘みにと来しわれそ、野を懐かしみ一夜寝にける』

  春の野に、すみれを摘みに来た私は、野を懐かしく思って一夜を過ごしてしまった。それだけ自然は愛おしく、美しい。自然と共に生活する。自然の中で生きる。心と体の美と健康のため。