金木犀の甘い香りを感じる、万(よろず)の葉の秋。金木犀は万葉名「月人(つきひと)の楓(かつら)」。浪漫を月に感じた古来の響き。言霊は言葉に魂が宿ると云われてきた。山々の紅く彩づく時、日本語の雅さと幽玄な世界に、言霊が色鮮やかに甦る。万葉集にこんな歌がある。
「黄葉(もみち)する 時になるらし月人(つきひと)の楓(かつら)の枝の色づく見れば」
(巻十・2202)
月の光が冴えまさるのを見ると、下界の木々も黄葉する時節になったらしい。刻一刻と移り行く美しい秋の葉を詠っている。 そう、葉の美学。
葉は自然界だけでなく、日常の生活にもある。言葉は言の葉と書き、葉書も葉に書くと表す。直筆の葉書が今見直されている。その人を思い、一言一言文にしたためる。心が言葉に出る。だから励まされるし、傷つきもする。葉の美学を乱すことなく、きれいな言葉を心がけて使いたい。
「ひとつの言葉」
ひとつの言葉で喧嘩して
ひとつの言葉で仲直り
ひとつの言葉で泣かされて
ひとつの言葉で笑いあい
ひとつの言葉でだまされて
ひとつの言葉で信じあう
(ほほえみ読本より)